清々しい朝の丸岡城で、サンドイッチを片手に珈琲を飲む。そんな贅沢な時間を知ってほしいと始まった、しろのまちマルシェ。おしゃれなクラフト雑貨やオーガニック食品などが並び、都会のマルシェのような賑わいを見せました。2年間の朝市を経て開催場所を坂井市内に広げ、マルシェの新たな形を模索した2017年。主宰の土田さんに、これからのマルシェについてや丸岡への思いについて語っていただきました。
早起きして楽しむ、贅沢な時間。
人との触れ合いが最大の魅力。
丸岡城下に地元の新鮮な野菜や惣菜が並ぶ一筆啓上朝市。そのなかで、かわいい手作り雑貨やオーガニック商品が出品されるようになったのが2015年。朝市の出店者として参加したのが「しろのまちマルシェ」の始まりでした。
「東京から戻ってきたころ朝市に出かけて、とてもリッチな気分になれたんです。朝起きて、外に出て珈琲を片手にサンドイッチを食べる。とても贅沢な時間です。都会のマルシェのように、この朝市にも若者に来てほしいと思いました」
丸岡で生まれ育った土田さん。東京で子育てをしながら6年間を過ごし、再び丸岡に戻ってきました。朝市に通っているうちに出店しないかと誘われ、友人らに声をかけて立ち上げたのが「しろのまちマルシェ」です。イメージは、若者でにぎわう都会のマルシェ。おしゃれなクラフト雑貨や洋服、オーガニックカフェなど、これまでの朝市になかった店が増えて、若者が集まり始めました。
「けれど、若者だけを呼びたいわけじゃない。マルシェは人と話し、触れ合い、人のつながりを感じられる場所。朝市のおばちゃんと会って人の温かさに触れたり、違う世代の考え方を知ったり。その交流が魅力です」
ただ物を買うことが目的じゃない。人と出会い、触れ合い、温かさにほっとする。それがマルシェの魅力だといいます。
「マルシェが誰かの『行きつけの場所』になれたらいいな。自分が暮らす町にそういう場所を持てるかどうかは大事ですよ」
SNSを中心にイベント情報を告知し、しろのまちマルシェはあっという間に人気イベントになりました。そして若者や子育て世代が朝市に訪れるようになっていきました。
丸岡の魅力は「住みやすさ」にあり。
住民の「居場所」をつくっていきたい。
一筆啓上朝市にあわせてマルシェを開催してきましたが、2016年から丸岡城桜まつり、丸岡城紅葉まつりに参加し、2017年は春江でのコラボイベントを開催。そのほか、坂井市のイベントに合わせて、七夕星の市や古城まつりサンクスマーケットなど、行政の協力を得てマルシェ以外のイベントも不定期に開催しました。こうして見えてきたのは、イベントの過程の大切さでした。
「若者だけでなく地域のいろんな世代が参加し、それぞれが役割を持ち、居場所がある。昔の村社会のような仕組みが理想だと思いました」
丸岡の一番の魅力は「住みやすさ」にあると土田さん。その魅力を大勢の人に知ってもらい、一人でも多くの人に住み続けてもらうことで人口増につなげたい。土田さんが丸岡でいろんな人の「居場所」づくりを仕掛けていく根底には、丸岡の魅力を伝えたいという思いがあります。
「丸岡は住みやすく、人の温かさを感じることができる町。丸岡の良さをアピールするきっかけがマルシェであり、丸岡城だと思います。丸岡城をひとつのツールとして繋がりたいという意識があり、お城があるから出来ることがあります」
いまあるものを生かして、
地元に愛されるお城になってほしい。
天守閣で鬼ごっこをしたり、噴水で遊んだり。幼い頃から丸岡城の周りで遊んで育った土田さんにとって、丸岡城は身近な存在です。だからこそ、あるがままの丸岡城を大切にしたいという思いがあります。
「今の丸岡城は観光客目線での施策が中心で、地元の人はあまり愛着を持っていないのではという気がします。昔はもっと管理が行き届き、周辺もきれいでした。新しいことをするのも大切ですが、いまあるものを生かして、地元の人の手で守られ維持されるお城になってほしいです」
丸岡城の魅力も町の魅力も、派手に飾り付けてアピールするのではなく、毎日の生活に密着した地味なところにも目を向けて仕掛けていくことが必要ではないか。そうした思いを踏まえて、丸岡町庁舎前のバスターミナルと公園整備に関するワークショップにも参加。マルシェなどにも活用できる空間づくりや、3人の女の子を育てるママの視点から、自らが参加し、子育てしやすい町づくりを提言しています。
「屋根付きのバスターミナルが完成したら、そこでしろのまちマルシェをやりたいですね。人を集めるには、『食』は大切な要素。多くの世代の意見を参考にして、まず住民が集い、より一層楽しめる場所づくりができればと思います」
しろのまちマルシェは、今後の丸岡にとっても大切な存在となりそうです。今年からは行動力、想像力に溢れたスタッフが加わり、ますますパワーアップする予定とのこと。これからマルシェがどのような進化を遂げるのか、そして丸岡城下町にどんな新たな賑わいを作ってくれるのか楽しみですね。